お登りさん日記

ほぼ岩の記録。課題のネタバレはがっつりするので悪しからず。

天王岩ボルダー、ウラヌスとバトル

Hくんが2週間前の白州の謎課題たちに苦しんだ鬱憤をはらすためにウラヌスを登りに行くと言っていたので、天王岩へ。

さそったらWさんも来てくれた。

しかし前日、8:30現地到着のバスを提案しておきながら酒を飲みすぎて寝坊する失態をかます

次のバスは10時着のやつしかない。

Wさんはゆっくり来るつもりだったとのことだったのでHくんだけ先に現地到着。1時間半も待たせることになってしまった。

詫びチョコを献上したので許してほしい。今になって思うと詫びレッドブルの方が良かったかもしれない。

現地につくと、Hくんとtoshi takeuchiが二人で岩の前にいた。

伝説級のクライマーが一つしか岩がないエリアになぜ???と思ったら、コロナの自粛ムードが色濃い6月頃、遠出はしにくいから東京都内の天王岩に足を運んだところ、この岩にプロジェクトを見つけたらしい。

というわけでtoshi takeuchi氏はプロジェクト、僕たちはウラヌスをトライ。

ウラヌス(二段)

この課題はかなりお買い得の二段と聞いていたので、前々からフラッシュしたいと思っていた。

ただ、そう思っている時間が長すぎて、いざ岩の前に行くとフラッシュ失敗した時のことを考えてしまい、なかなかトライ開始できない。

結構な時間キャンパでアップしたり先にトライした二人の応援をしたりでモジモジしていた。

動画は一応youtubeで見てきたのでムーブは知っているし、オブザベや二人のトライでどの辺が悪そうかは検討がついている。

あとはただ集中してトライするのみ。

もう成功でも失敗でも良いからこの緊張から開放されたいという気持ちで満を辞してトライ開始。

一撃したいと散々言ってたのでtoshi takeuchi氏からも応援してもらった。けど、メンタルが悪い方に寄りすぎていて、それすら緊張のタネになる。

コンペの時なんかはどんどん闘争心を高めていき、トライの時はパフォーマンス最大に持っていけるようメンタルをコントロールできたりしていたのに、今回は全く違っていた。

離陸からして足の抜け、初手のすっぽ抜けを恐れてモタつく。

ほぼスタティックなのでどうにか初手取り、二手目取りはやり過ごせた。

問題のランジパート。がっつりガバだし場所も取り付きのアングルから確認したから問題ないはず。と思ったけど、どこにあったかわからなくなる。

たぶんこの辺だろ、で飛び出す。これを外したら終わりなので右手の保持に集中。

結果、右手に集中しすぎて左手がすっぽ抜けた。めちゃくちゃ振られてフォール。フラッシュ失敗。

トライ前はなんなら失敗でもいい。くらいの気持ちで始めたはずだったのにめちゃくちゃ悔しかった。

とりあえず落ちたランジパートだけバラす。普通に止まって余計に悔しくなる。完全にメンタルで負けてたことがはっきりしてしまった。

休憩を挟んで、再度トライ。プレッシャーもなかったので安定して完登。でもマントルが意外と悪くて、左手プッシュ→右手プッシュ→また左手プッシュで少しずつ体を上げる妙なマントリングをした。体を上げてから気づいたけど、一応奥にホールドがあったのでもう少し普通に返せそうだった。

しかしフラッシュ失敗が悔しすぎて、完登してもあまり嬉しくない。

すごく損した気分になったので今後はフラッシュは適度に狙う程度にとどめようと思った。

一応、ウラヌス自体を評価すると、ランジは気持ちいいし、ランディングも良い。なによりお買い得なのでサクッと成果にできる。星三つの課題だと思う。嬉しくないのは完全に自分が悪い。

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ランジを止めたところ。支えてる左手がちょっと浅い。

気分を変えてHくんWさんのトライを応援したり写真を撮ったりして過ごす。

二人ともランジパートに苦戦していたが、Hくんが先にランジに成功、Wさんも少ししてから成功させていた。

ただ、保持的には初手取りの方が悪いので今度はこのパートで苦戦していた。

自分はこのあたりでプルトン(三段)の後半パートにあたる般若(初段)をトライすることにした。

般若(初段)とプロジェクト

ウラヌスより悪いことは聞いていたけど、リップ取りの手前のサイドカチが欠けていて結構悪い。

発射したら絶対抜けるので片手で止められる奥のガバまで飛ぶ必要がある。

でもガバは下からだと全く見えないので、とりあえず手前のリップへ跳んでみる。

こっちはザクザク尖ってて痛い!思いきり抜けたら出血する予感がした。

奥まで跳ぶか手前で耐えるかで迷っていたら、toshi takeuchiはプロジェクトをシュッと完登していた。

別に本人はシュッと登ったつもりはないかもしれないけど、上手すぎてシュッと登っているように見える。

あとでインスタを見たら、プロジェクトはPandemicと命名されていた。四段+だそうな。自信のある方は是非。

良かったらやってみてくださいと言われたけど、僕は核心のアンダーが意味不明すぎてオブザベで敗退。

でも新課題誕生に触発されて般若のトライにも一層気合が入り、見事完登!!!

と、いうことは全くなく、普通に可能性があまり感じられなかったので敗退。。。

toshi takeuchi氏も目的を果たして離脱、結局僕もお昼休みするためにマス釣り場の食堂へ。

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食べたのはマスの唐揚げ定食。900円。ポン酢でいただく。

色即是空(初段)

昼食後の眠気で気持ちが切れてしまったが、ここで昼寝したら完全にクライミング終了してしまうので、やりやすい初段と聞いた色即是空からやることにした。

スタートは適当にアンダラ上部の傾斜のガバから。

リップのガバを繋いでホールドが小さくなるパートへ。

ヒールをよくわからないところにかけてしまったので不安で力んだけど、おかげで抜けずにウラヌスのガバまで到達。

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やたら高いところにヒールをかけてしまったところ。
めちゃくちゃレストして後半パートへ。

後半のほうがホールドが若干わかりにくいけどガバなのでヒールを外さずに繋げていく。

般若のリップまでいったら、マントル。大体20手ちょい。

難易度的にはロッキーの1級長モノくらい?

アップしてるときに後半は触ってるからフラッシュにはならないけど、ほぼフラッシュ。

これで眠気は覚めたけど、疲れたので休憩してから次はアンダラをトライ。

アンダラ(初段)

腕のパンプが回復するのを待ちながら、HくんWさんのウラヌスを応援する。

昼食の重みが響いているのかHくんは午前中安定させていたランジが成功しなくなる。

Wさんは反対にきちんと集中すればランジはどうにかなることを発見していた。

しかし、かなり良い感じのトライでガバのエッジで手を負傷。ここで惜しくも敗退。次回再戦を誓って応援組に。

僕はパンプが落ち着いてきたのでアンダラをトライ開始。

スタートはセパレートの左手で使うカチが動いていたので、破壊してしまうのを避けるためにちょっとだけ悪いもっと左のカチから始めることにした。

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顔の前の白いところが本来のスタート左手。

左手を少し悪いのにしたことは(多分)関係なく右手が悪すぎて初手が全然止まらない。

初手で落ちまくると全然疲れないけど、その分撃ちまくるので全然出来ない感だけが残る。

数回初手を止めたトライがあったが、足が抜けたり右手が抜けたり、なかなか全部は上手くいかない。

イライラし始めると、右手の保持感がわからなくなり、また初手が出来なくなってしまった。

Hくんもウラヌスの初手に苦戦していて、曇天も相まって岩場全体がなんとなくどんよりした雰囲気になっていた。

ウダウダ喋りながら右手の保持感を確認していると、親指の関節を岩のエッジに合わせる形でピンチすると少しだけ安定することを発見した。ついでに、指先ではなく関節を押し当ててピンチするので骨ピンチと命名した。関節の膨らみをホールドの角にひっかけつつ、指先のフリクションも使うイメージ。意外と痛くないのでピンチ核心にお困りの方はムーブの選択肢に入れておくと良いかも。

持ち方もわかったので、レストを挟んでから集中してトライ。

初手に成功。足も右手も抜けなかった。慎重にマッチ、慎重に左手送り。ここまでくれば実質終わり。と思ったらマントルが苔まみれでよくわからない。ロックして苔むしたホールドを探る。幸い見た目よりフリクションがよくてマントルも無事突破。完登。

3撃したウラヌスより何度落ちたかわからないアンダラの方が嬉しかった。

完登後、ほとんどかならず岩の上からの景色を見ることにしていて、2,3m横にずれているだけなのにずいぶん景色が違って見えた。

どっちからみても杉林と道路が見えるだけだけど、なんとも良い景色に感じる。

アンダラの内容は初手が悪いだけで小さいし、ちょっと地味な課題だけど、苦労すると満足度が全く違ってくる。

粉末ラジオか何かで聞いた話だけど、課題には旬があって、その旬はトライするクライマーの実力で変わるそうだ。

名課題の1級でも一撃したらそのクライマーの思い出には強く刻まれないということだと思う。

5級とかに名課題が少ないのはクライマー達の記憶に残りにくいからだろう。

というわけで、ウラヌスは良い課題だったけど、僕には旬の過ぎた課題で、アンダラは僕にとって旬な課題だったんだと思う。

課題の面白さを内容意外の側面で感じる日だった。

次きた時は旬なはずの般若にリベンジしたい。

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小さいくせにいろいろとエモい気持ちになる岩だった。