4日目は雨だったのでレストして、5日目は四国最高の二段と名高い塗仏をトライしに物部へ。
道路が細くてペーパードライバー的には結構厳しい運転だったけど、なんとか事故らず現地へ到着。
集落と川を隔てる鹿よけネットをくぐり、徒歩数秒。塗仏がある宴岩が見える。
アップをしつつ、宴の支度(4級)をトライしたが、マントルが意外と悪くてビビったので一度降りて、2トライめで登った。
下降も10級くらいのかなり長いスラブをクライムダウンするのでこれも少しビビる。
アップの仕上げにかかと野郎もトライ。
かかと野郎(1級)
これまでの四国の岩場のグレード感からして、1級はそんなに苦労しないだろうと踏んでアップの気持ちでトライしたが、苦手な足が滑る系でスタートから大苦戦した。
足は結構窪んだところにあるけれど、外径していてエッジがないのでスコスコ抜ける。初手もカンテ状の奥にある指一本分のエッジを抑えなくてはいけないので、よく見えないし悪い。
適当に出しては外し、たまにかかってもガバカチの寄せが意外と厳しい。上部のガバへはランジしないと届かないので体勢を整えたいが、ままならない。
いろいろ苦戦していると、Yさんがスタート足は突き刺すように入れて奥を踏むと乗れるとアドバイスをくれた。
半信半疑だったが、実際にやってみるとこれが結構安定した。スタティックに初手を取ることができるようになり、最初に消耗してしまうことを避けられるようになった。
次の問題はスタートホールドの寄せで、トポにははガバカチ二つを持ってスタートと指定が書かれていたので、マッチスタートはできない。
ジムと違ってどっちの手でどっちのホールドを持たなくてはいけないという指定まではなかったので、クロスした状態でスタートし、右手の寄せを省略することを思いついた。
足が不安定な状態だとなかなか厳しいが、安定する方法を知った状態でなら問題なくこのムーブも実現できた。
これで下部は解決。
次はランジの距離出しだが、これはヒールしていた大きめのガバ足をやめて、それより上の少し小さい足を爪先で乗れば十分距離が出せた。
Yさんはヒールのままランジでも届いていたので、ここはリーチによって違いがありそう。
飛び出してしまえば、場所を間違えなければ片手でも耐えられるガバなので、保持は問題なし。
最後はマントリング。トポには右側抜けと直上があり、どちらでも良いみたいだった。ただ、雨のせいか上部にチョークが全く残っておらず、ホールドがわからない。
直上は特にわかりにくく、ガバへの手にヒールも近すぎて、手が滑った時に背中から落ちる予感がしたので諦めることにした。
右抜けはすこし遠いガストンと、それより近い側にも右手で持てるホールドがあったので、とりあえずガストンを持ってヒールしてみる。
こっちはある程度体が開いているのでヒールの恐怖感も薄い。痛めた右肩に響くのできついが、なんとかなりそう。
マントルが怖いので動画を確認してからトライ。
下部は足がはっきりしたおかげで安定して突破。ランジから右手出し。この時点で結構チョークを消費してしまって結構ヌメる!
臆せず右手を取り、ヒール。マントルの体勢に入る。ペタペタ左手を叩きながら体を上げていく。奥にホールドを見つけたのでそれで体を引き上げ、完登。
舐めてかかったらだいぶ苦戦した。チャート特有のフリクションの少なさがヌメる手とあいまって上部をかなりスリリングにしてくる。勘弁してほしい。
連日の岩で指皮が消耗して、ヌメりやすくなっているのも一因だったと思うけれど、ちょっと辛い1級だった。
アップどころか軽く疲れるぐらい頑張ったところで、目的だった塗仏をトライ。
塗仏(二段)
130度くらいの傾斜のバシバシ系でオブザベの時点でかなり楽しそうな雰囲気。さっそくトライ開始。
下部は結構かかりの良いホールドが続くが、結構傾斜があるし、コンプレッションでバシバシやって耐えなくてはいけないので結構ヨレる。足は悪くない。というか、セッターがいるかのように完璧な位置に散らばっている。
中盤のアンダー寄せからのガバカチ取りですでに結構限界が来ていた。気合で止めて、左カチ取り、そのまま送る。
足を切ってヒール。めちゃくちゃ苦しい。呻きながらカチに手を伸ばしたが、力尽きてフォール。フラッシュ失敗。
でもかなり良い感じのところまでいけた。下部を自動化して、ヒールのパートのムーブを微修正すればカチまでの体力は温存できそう。
数回のトライで下部を安定させ、ヒールの時に足を切らずに踏み換えることで体力が温存できることを発見。
ヒールからの距離出しも、左足をしっかり真下にスメアすれば距離が稼げる。
だがここで、時間は昼過ぎ。交感神経が最も優位になり手汗が滲み出てくる。かかと野郎に苦戦したこともあいまって指皮も減ってきていて、余計にフリクションが感じられなくなる。
おまけにかなり良いトライができた時に右足のヒールカップに被せてあるソールが剥がれて壊れてしまった。
僕のインスティンクトは買った当初からヒール側のソールの接着が怪しくて、御岳の亀返しをやるときに左足のソールも剥がれて壊れている。
とはいえ、この経験から既にこうなることは予想できていたので、セメダインで接着して応急処置。
意外とこれでなんとかなる。リソールできなくなるらしいけど、いつも穴が空くまで履いて新しいのを買ってしまうので問題ナシ。
手汗が結構ひどくなっているし、疲れてるし、セメダインが乾くのも待たなくてはいけないので15分くらい休憩。
休憩してから、再度トライ。
自動化した下部は問題なく突破。ヒールの部分まで到達。セメダインを信じて手を伸ばす。ヒールは抜けなかった。
気合でカチを保持、リップへランジ。ヨレていたけど、ヨレているからこそこれが最後のチャンスだと思い、マントリングする。
パンプし始めていたしチョークも取れてめちゃくちゃヌメって恐ろしかったが、執念でマントルを返して完登。
恐怖よりも落ちたらほぼ敗退が決まってしまうという意識が勝ったおかげで登りきれた。
ただ、落ちていたら怪我していたかもしれないことを思うと、突っ込んでしまったのも少し反省。
課題自体は四国最高の呼び声に恥じない素晴らしい内容だった。
特に上部のヒールからのカチ取りの絶妙な距離感、そこからのランジも緊張と気持ちよさが同居するちょうどいい悪さだった。高知にお立ち寄りの方は是非。
仏の顔もIt's all right(初段)
塗仏を登ってまだ時間があったので、仏の顔もIt's all rightをトライすることにした。
黒坊(初段)も気になったけど、ヨレまくっていて傾斜をやる元気がなかったので、垂壁のこちらをチョイス。
でも垂壁だからといって楽なわけでもなく、腐っても初段。大して高くないのにリップまで到達できずにポロポロ落とされる。
しかもホールドはザクザク尖ったカチ。指皮が減ってきた夕方にやるもんじゃない。けっこう痛い。
尖っている方が刺せば滑って落ちることはないのでありがたいけど、痛いのは普通に嫌。
Yさんもヨレていたので宴の支度をトライ。交代で休みながらやる。
数回リップまで到達するトライがあったが、かかと野郎と同様にチョークがついてなさすぎてホールドがわからなかったり、ヌメりすぎて滑って落ちたり、もどかしいトライが続いた。
ここでギブアップしてyoutubeで動画を調べ、リップとマントルのホールドを確認した。ついでに、苦戦していたカチ寄せからの左手送りムーブは完全に飛ばすことが出来そうだった。
ただ、ここは個人的には難しいけど気に入ったムーブだったので拘って飛ばさずにやることにした。
少しレストしてからトライ。
スタートから若干のヨレを感じているが、4級のスタートだしという謎の意地が働いて耐えられる。ガバを右手を少し遠いカチへ。
足を真下の小さいエッジに乗せ、左手を寄せ、右手も寄せる。ここがトゲトゲカチで痛い。
痛みに耐えて、左足をガバに上げ、リップ取り。一度ここでヌメって落ちたので、重心を下げて効かせる。
右手出し。左手は滑らず耐えられた。右足を上げて、右手を少し遠いスローパーへ上げて、マントリング。
上部は動画で見たのをそのまま真似したのでそこまでキツくはなかった。これにて完登。
足が悪い課題は苦手なので、この課題よりもかかと野郎の方が難しく感じたが、ホールドはこちらの方が悪かった。難易度的には同じくらいかも?
まとめ
夜は宿近くの居酒屋で済ませた。
結局この日は宴岩の黒坊以外の課題を全て登れて大満足の1日だった。
成果
- 宴の支度(4Q)
- かかと野郎(1Q)
- 塗仏(二段)
- 仏の顔もIt's all right(初段)